2016年9月
薬用石けん アメリカで販売禁止に
  日本でも一般的に普及している殺菌効果をうたったハンドソープや石けんなどがアメリカで販売
  禁止になりました。
  「薬用」、「殺菌」などの表示があるハンドソープ類には、一般的にトリクロサンというものが
  使われていますが、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、このトリクロサンなど19種類の殺菌
  成分のいずれかを含むハンドソープや石けんなどを販売禁止としました。
  通常の石けんと水による場合と比べて、殺菌効果が優れているという科学的根拠がなく、むしろ
  長期に使用することにより、有害になる可能性があるというのがFDAの見解です。
  以前から、トリクロサンの人体への害が指摘されており、2014年にはすでにアメリカのミネ
  ソタ州で、トリクロサンを含む商品の販売が禁止されています。それが、今回全米全体に広がり
  ました。
  ある研究によると、殺菌剤を長期に使うことで耐性菌の発達につながるほか、生殖と成長のホル
  モンを破壊する可能性すら指摘されています。
  トリクロサンは40年以上前から日用品に使われており、殺菌効果をうたうほとんどの抗菌製品
  に使用され、2千種類以上が販売されているとされています。
  日本で販売されている薬用ハンドソープの成分表示を見てみると、トリクロサンやトリクロカル
  バンが入っているのが分かります。シャンプーや歯磨きペーストなどにも使用され、かなり広く
  流通しています。
  今後、日本でも何らかの対応がとられると思います。
  FDAは、通常の石けんと水による手洗いを推奨しており、水や石けんがない環境ではアルコール
  消毒液の使用を勧めています。
  これから風邪やインフルエンザの季節になりますが、肝心なのは、しっかり時間をかけて指の間
  まで洗うことだということです。
  
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結核予防週間
  厚生労働省では、結核に関する正しい知識の普及啓発を図る目的で、毎年9月24日から9月30日
  までを「結核予防週間」と定めています。
  この期間、結核予防会が中心となり、全国各地で各自治体と組んで「全国一斉複十字シール運動
  キャンペーン」として街頭募金や無料結核検診、健康相談等を実施されます。
  複十字シール運動は、結核予防を目的に世界各国で行われており、募金をしていただいた方に複十字
  シールを差し上げ、それを使っていただいて、結核予防思想の普及に一翼を担っていただくものです。
  結核は現在でも世界各地で猛威をふるっており、この状況を地球規模で克服していくためのボランティ
  ア活動です。
  この運動は、1904年にデンマークにおいて、収益金で子供のための結核診療所を作ろうと思いつき、
  クリスマスシールとして始められました。日本では、1952年に第1回のシールが作られています。
  結核はひとごとではありません。
結核について正しく理解し、自分と身近な人を結核から守りましょう。
http://www.jatahq.org/siryoukan/torikumi/pdf/2016.pdf (公益財団法人結核予防会パンフレット)
アフリカ 治療から予防へ
今、エチオピアは、保健ポストという地域拠点を整備し、国の衛生状態の改善に取り組んでいます。
  保健ポストとは診療所のようなもので、感染症の発生状況の把握や薬の処方、妊婦健診などを行っ
  ています。
  アフリカ諸国は、マラリア、エイズ、結核の3大感染症に苦しめられており、国際的な支援を受けて、
  保健や医療サービスの改善を図っています。
その施策の1つとして、保健ポストが重要な役割を果たしています。
  世界最貧国といわれ、アフリカでももっとも衛生状態の悪かった“エチオピア”は、政府が2005年
  から保健ポストを整備し、急速に衛生状態を改善させました。
  現在、保健ポストの数は1万6千ヶ所にのぼります。
保健ポストには、1年の研修を経た保健普及員を配置し、保健活動に従事しています。
  昔は、“はしか”で村の子供がバタバタと亡くなっていましたが、今では保健ポストでワクチンを全員
  が接種でき、多くの命が救われているということです。
2000年と比較して、エイズ罹患率は50%、マラリアによる死者は43%に激減しています。
  (毎日新聞の記事参照)
 
  最近ではジカ熱が世界的な脅威になり、あらゆる感染症が簡単に国境を越え、世界的な問題になる
  ことが多くなっています。
  そういったことから、感染症の世界的流行を防ぐために、先進国が資金を拠出し、アフリカ諸国など
  の衛生状態の悪い国を支援し、感染症が拡大する前に、感染症にかからないようにする予防に重点を
  おいて、大きな成果を上げています。
              
        
"はしか"の感染拡がる
  日本国内での「麻しん(はしか)」の患者が急増していることをうけ、国立感染症研究所は、8月25日
  に“麻しんに関する緊急情報”を発表し、警告しています。
  8月には、麻しんの集団感染に関わる出来事が相次ぎました。
  千葉県では、すでに発熱、発疹が出ていた19歳の男性が、8月14日に幕張メッセで開催されたコン
  サートに参加。その後、麻しんと診断され、他の参加者に感染した可能性があると問題になっています。
  この男性は、他にも東京や神奈川にも立ち寄っていますので、さらに感染拡大の恐れがあります。
  東京立川市では、8月26日に開かれたイベントに、麻しん患者が参加していたことが分かり、新たに
  麻しんの患者が増える可能性があると、注意を呼びかけています。
  また関西では、関西国際空港で麻しんの集団感染が発生しています。
  大阪府の発表によると、接客業務を担当していた従業員を中心に34人が感染したことが分かっている
  ということです。
  国立感染研究所の発表では、今年は特にアジアの国々に渡航暦のある患者の届出報告が目立つというこ
  となので、関西国際空港の集団感染は、それと関係しているのかもしれません。
  さらに9月8日には、兵庫県尼崎市の保育所の園児6人が麻しんに集団感染し、その他に中学生が感染
  したと発表されました。
  麻しんは非常に感染力が強く、さらに発疹がでる前の風邪の症状に似た時期の「カタル期」といわれる
  段階が最も感染力が強いことが分かっています。
  そのため、風邪かなと思っているときに、気付かないまま、他の人に感染させていまします。
  麻しんに免疫のない人が感染すると、ほぼ100%発症するといわれています。
  潜伏期間は、10日から12日とされており、症状が出る前に感染者は、さまざまなところで他の人に
  感染させてしまうことになります。
  先の幕張や立川のイベントでは、集団でいる状況のため、あっという間にウイルスが拡がり、それが
  さらにあらゆる場所でばら撒かれる可能性は十分にあります。
  世界では、2014年の麻しんによる死亡例は114,900件にのぼります。この中のほとんどは5歳
  未満の小児だということです。
  まだまだ、麻しんで亡くなる人は多いですが、麻しんワクチンの摂取率が上がったおかげで、2000年
  から比較すると、79%も減少しているということです。
麻しんは、麻しんウイルスによるウイルス性疾患です。
このウイルスは、空気中や物質の表面で最大2時間の活性があることが分かっています。
  今回、日本国内で集団感染が発生したということは、まだまだ感染しやすい人が多く残っているという
  ことです。
  麻しんウイルスに対する抗ウイルス治療薬はありませんので、予防対策をしっかり施していくことが
  大切です。
                              
                  
結核の集団感染が多発
  千葉県の船橋市と市原市で結核の集団感染が確認されたと発表されました。
  船橋市では、塾講師を務めている30代の男性が肺結核に感染、発病し、塾に通っていた小学生から
  高校生の43人が感染していたことが分かりました。他にも、その男性の家族と、同僚の塾講師にも
  感染しており、合わせて56人の感染が確認されています。
  そのうち、15人が発病していたということでした。
船橋市では、それとは別に8人が感染して、6人が発病した集団感染も発生しています。
  市原市でも、2015年9月に結核と診断された女性から感染した可能性があるとして、今年の8月
  までに、その家族4人と接触した人8人の感染者を確認しています。
  千葉県内では、今年に入って、今回のも含め5件の結核の集団感染が発生しています。
東京や茨城などでも集団感染が発生しており、注意が必要です。
9月24日から9月30日は、「結核予防週間」です。













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