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 必要でない場合が多い抗生物質

  抗生物質が効かない薬剤耐性菌の対策として、政府は抗生物質の使用量を2020年までに
  3分の2に減らす目標を掲げ、行動計画案を策定しました。


  薬剤耐性菌は世界中で非常に問題となっており、2013年の薬剤耐性菌による死者は全世界で
  70万人に上っており、2050年には1,000万人を達するとの予測もあります。


  ちなみに抗生物質と一口に呼ばれることが多いのですが、「抗生物質」は微生物から抽出された
  天然由来の物質になります。
  その他、人工的に合成して作ったものは「抗菌剤」と呼ばれ、両方を合わせて「抗菌薬」と呼ばれ
  ます。「抗生剤」と呼ぶこともあります。


  薬剤耐性菌が出現し、このような状況になってしまったのは、医師から「念のため出しておきま
  しょう」と抗生物質を安易に処方され、乱用しすぎていることこそが原因といわれています。

  よく見られるのが、風邪やインフルエンザで抗生物質を処方される場合です。

  風邪やインフルエンザはウイルスが原因であるため、大半は効果がありません。
  また、ウイルス感染症の2次的な細菌感染症の予防に抗生物質は意味がなく、それどころか
  薬剤耐性菌による感染症を引き起こすこともあります。

  その他にも、副鼻腔炎や気管支炎など抗生物質が必要のない場合でも処方されることが少な
  からずあるようです。

 

  抗生物質は、病気の原因となる細菌を死滅させるための薬です。
  ただ、悪い細菌だけでなく、人間にもともと棲みついている必要な細菌まで死滅させてしまう
  という問題があります。

  それによって、本来体が持つ免疫機能も衰えてしまい、生き残った薬剤耐性菌の勢力がさらに
  増すことになります。


  目に見えないあんなに小さな細菌が、どうやって耐性を獲得できるようになったのかはわかりま
  せんが、細菌自身が薬を無効化してしまう酵素を作り出したり、自分自身の構造を変化させたり
  します。薬剤を排出させるポンプ機構を獲得する細菌もいて、まさに驚異的です。


  WHOは、昨年から抗菌薬の適正利用を呼び掛ける目的で「抗菌薬啓発週間」を設けました。

  抗菌薬は非常に効果の高い薬です。しかし必要のない人が服用すれば、副作用ばかりで何も
  いいことはありません。

  医師も消費者も抗生物質の適正な使用を心がけていく必要があります。

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