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 スーパー耐性菌の拡大懸念

  もうすぐオリンピックが開催されるリオデジャネイロの海岸で、抗生剤に強い耐性をもつ「スーパー
  耐性菌」が発見されたことが話題になっています。

  発見されたのは「カルバペネム耐性腸内細菌科細菌」で、「悪夢の耐性菌」の異名で最近、注目を
  集めているスーパー耐性菌です。

  カルバペネムというのは、最後の切り札といわれる強力な抗生物質のことです。


  この細菌の感染者数が急増し、世界的な広がりを見せており、米国疾病対策センター(CDC)が
  警告を発し危機感を強めています。

  アメリカでは、年間推定9,000人が感染し、約600人が亡くなっています。
  日本では、年間約1,300人が感染し、52人が亡くなったデータが取られています。


  現在、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌に唯一有効だとして、「コリスチン」という、さらに強力
  な抗生物質が用いられています。
  コリスチンは1959年からある抗生物質で、重い感染症の治療に用いられてきました。腎毒性が
  高いため、一旦人体への使用を中止していましたが、近年、耐性菌の出現により、最終選択薬とし
  て再び使用されています。

  しかし、5月にそのコリスチンすら効かないカルバペネム耐性菌の感染がアメリカで初めて確認さ
  れました。
  すでに中国や欧州では確認されていましたが、感染が確認された女性は海外渡航暦のなかったため、
  拡大が懸念されています。


  耐性菌が増え続けている原因は、抗生物質の使い過ぎだと言われています。

  世界の抗生物質の使用量は増え続けており、特にインドの消費量が激増しています。
  インドでは、強い抗生物質でも簡単に手に入れられる状況であり、軽い病気でも、すぐに治そうと
  抗生物質を多用する傾向があるようです。
  そのため、耐性菌を爆発的に増やしていると指摘する専門家もいます。

  日本では、風邪であっても、とりあえずといった形で抗生物質を出す医師が非常に多くいると思わ
  れます。
  しかし、ウイルスに対して抗生物の効果はありません。2次感染の予防にもならないといわれてい
  ます。


  耐性菌の拡大は世界的な問題となっており、日本政府も、2020年までに抗生物質の使用を3割
  減らす方針を掲げました。

  患者になる側も、抗生物質に関する知識を持ち、無用な薬の摂取を控えることは大切です。

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